「特開2045−34987」 written by eConomy up 3.June.2009
「特開2045−34987」 written by eConomy
(物語1 2045年夏)
世界の経済的成長は2015年からの一経済大国衰退によって止まり、蔓延的不景気の様相が好転する兆しはなかった。
基礎通貨はEUの規模拡大により、2020年にドルからユーロに変わっている。
また、一時は頓挫すると思われた中国の台頭は地域別国家の集合体に国を再構築することで、幾つかの困難と混乱を振り切った。
中国の連邦政府はその後、少しの平等感覚で富を分配する事によって際どい綱渡りながらも世界1位の人口を背景にGDPの増加、基礎科学力の向上、海上・中央アジアの油田を確保しつつ、1国としては世界最大のマーケットを20年以上維持し続けている。
一方、USAの凋落は目を背けなくなるほどの惨憺たるものであった。
現在(2044年冬)の人口は約5千万ほどまで落ち込んでいる。
その理由の大きなものは日本・EUの有力諸国が移住を自由としたことである。
2015年の段階で国民の個人経済格差が日本の10倍以上もあったUSAの人々の敵対心はほぼ内戦と言える状況になる。
2018年から2020年の約3年はこのため世界が大混乱に陥ったときであり、USA国内ではこの時期を第二次南北戦争と呼び、世界的にはUSA解放運動・事変と呼ばれている。
その結果、突出した軍事技術をもつ世界の「デキモノ」の様な国が出来上がった。
また、金融工学が生み出す架空の金はこの混乱の中で通用しないものとなり、軒並みアラブ各国は「実質」を生み出す国々にその富を手渡さなければいけない状況になる。
石油はもはや、エンジンを動かす主動力ではなくなっていた。
そんな時が2020年である。
日本は当時、少子化と幾らかの「実質を生み出す力」によっての好景気で「人手」が足らなくなっていた。
そのため、「日本活性化移民計画」なる極めて、当時の内閣が考えそうな短刀直入な言い回しの政策を実行に移す。
一種の差別政策で間違いない。
この当時、著しい減退が見えていたUSAに換わり、自由主義社会の盟主はドイツ・イギリス・フランス、そして日本を加えた4国の手に分散されている。
(USAは当然、総合的科学力で抜けた存在ではあったが、政情が不安定で経済の右下がり、毎年マイナス数十%を止めることが出来ず、カナダ・メキシコを含めて、その経済圏としては、既にアジアの1国中国を下回っている。)
理由は化石燃料の価値が一変し、動力源を他に求めた資源を持たない先進諸国中、経済規模の大きい国に分散されたためである。
もしかしたら、この移民政策が今の日本を含む人間世界の新しい形を造ったのかもしれない。
日本政府は1500万人の労働者の移民を許可する。
これにより、選挙権が移住民に与えられた場合の危惧で当時の政府は拒んだが2大政党制となり、政策の色は薄く、どちらが政権を持っても大した違いがない経済団体は医療団体、巨大宗教法人もバックに加え、強引にこの政策を政府に受け入れさせた。
経済団体(日本を牛耳る意思)が他を同意させた表文句は「顧客」の増大だったが、単にそれだけだったか・・・。
下が、その移住政策の骨子。付加は多すぎて書ききれない。
大きな内容を纏めると、
「日本国への移民は労働をなすもの、思想・信条において日本国民たる一定の条件を満たすものに許可する。妻帯者はその妻、及び子にも許可する。単身者(男性・女性問わないが、男性35歳以下、女性30歳以下とし、移住後、日本語習得が容易に果せるもの)は優遇し移民権を与える。日本において納税を3ヶ月し事業者の許可書を役所に届け出たものが国籍を有することができ、その他は
日本国憲法以下にある法により、不法入国者扱いとし、国外退去等を求める。」
文章に幾つもの気味の悪い曖昧さがある。
例えば、「日本国民の一定の条件」「男女単身者の年齢制限」「国外退去等」、全てが官報に記載されている内容で明快以外は許されないが、意図的な官僚によって「わかりにくい」表現に記されたのが事実であろう。
移民の年齢制限は少子化対策のためとされ、まったく例外は許されない。事業所が許可を与えるものは盲目的に労働力を与えるものか、何がしら秀でた能力を有するもので、その割合は20:1。
後者は高い収入を得る富俗層となり、その10倍の人達は単純労働力とされた。
いずれにも属さない人が、計画の1500万人から実際移住者の約1000万のその50%にあたる500万に上る。
日本において失業者とならざる得ない500万人には2年間のビザと他国への再度の移住処置、そして強制国外退去が行われたが約200万人は結局、日本の中に残された。
その後、約25年が経過する2045年。つまり、今である。太平洋戦争終戦から100年後に日本は大きく変ろうしていた。
日本国憲法は対外向けに100年の間、まだ何の手も付けられてはいない。
しかし、多くの移住民を抱えた日本では幾つかの人権問題に司法が判断を下しつつ、民法を筆頭とする実体法は幾つも変更が行われ続けた。
憲法の精神は遥か昔に終わったとも言える。
日本国民全てが「文化的生活」を送る事など到底、困難な時代。
様々な自由は制約を受け、国民の義務である「税」を納めるものが日本国民であり、「それ以外のもの、だったもの」は文化的生活を送る資格を有しない。ただ、生命の保証のみがある。
大量移民から約25年。年金から端を発した問題は税におよび、移住者及びその子孫、約300万人の日本国民としての地位を最高裁判決は取りあげた。
小難しい言葉は書かないが、原告側の主張は「棄却」のみで葬り去られる。
単純労働力は全てと言って良いほど、今はロボットが行っていた。
労働力の結集を叫ぶ事はネット、双方向TVなどで自由ではあるが、人間が生き続ける方法は日本国中に網羅しており、「刺激的」以外を除けば、生き延びられる現状がある中、人は上を望まず、従って「集結」はない。
日本国中は無菌化され、バイオ医学の発達により一細胞により、人間が生まれる時代である。
そして、人間の死因は事故と老衰くらいしかなくなっていた。
政府が下した最終結論は日本人である条件は20年以上の日本への居住者及びその子孫。これには住民票さえあれば良い。
この内容が最高裁判決に不満を持つ「日本国民」の大多数元移民救済を行い、その不満を爆発させなかった。
もうすぐ始まる富の再分配が始まる手前の事、この救済は政治的には極めて当然で、日本は数百万の暴動に耐える力は有していない。
その富の裏づけは「国債」であった。
国債は債務である。
国の資産、金保有量、実際経済規模等によって、USA騒動が片付いた時、国際金融を安定させるため、国債発行の禁止及び他国にある国債を全て買い取る取り決めが国際連合で可決された。
それにより、1国内における有価証券の売買も禁止され、世界(単位)の株式市場が生まれ、その銘柄は国(名)しかない。
マイナスを背負った国は全てのマイナスが帳消し(債務凍結条約)とされ、日本同等の科学的処置により無菌化され、どのような国・地域でも、草木が生える環境さえあれば餓えは消え、病を消し去る魅力、国(地域)として独立の尊厳が保障される「制度」に、調印しない国はなかった。
そして、すぐさま小国は小型のEU類似をそれぞれ作り、経済規模を大きくすることで発言力を大きくしようと試み始める。
自国で全てを債務を「完済」した国は「株式市場」に上場でき、出来なかった国は5年の観察期間を設けることで、国としての信用はほぼ0に近い。
しかし、それ以外はまったく差別無く、国連での1票を投じることが可能であった。
新たに他国の株(国債に非常に近いが・・・。)を購入するのは国家レベルの意思が必要とされ、基本的に自由ではない。
また、世界的軍事、経済を司る国連が介入可能なため、不当目的での購入は禁止とされる。
国レベルの取引は新たな産業の牽引する国に投資されたり、近く株式市場に上がる、現状において元負債国の復興に期待した購入などで、いずれにしても莫大な金であり、個人・企業レベルでは不能である。(実際には可能であったが企業は国の株を買えない。)
当然、一般企業が大きくなり、他を圧倒し世界的に名乗りを上げる仕組みは残っているが、それは国の価値を上げることに繋がり、1国家が相当の「枠」を設け、資金面において後ろから支える。
国は企業経営にはまったく関与しない事は当然とし、破綻は防ぐ必要があるため、株式に換わる予算枠の拡張・縮小で対応し、成功報酬は国益貢献度に応じ分配され、資本主義社会継承も問題はないと言える。
つまり、世界の価格は固定され国の価格は変動する決められた枠中での変化が毎日起こる仕組みが作られた。
並列スーパーコンピューターが10台用意され、その合議制で世界経済安定がコントロールされている。
USAは内戦とも言える状態だったため、国債を乱発し、しぶしぶドル建てで買い取った日本、EU諸国のUSA国債は先の条約により国債は買い戻され、2022年後半にはそれぞれの現状国力が判明する。
USAは国債買取で他国のものを総ざらいしても、追いつかない状況だったが、金融の拠点を150年以上勤めた底力で全て清算できた。
日本の国債は国民全てに均等に分配される。
基本的には国の借金であるが、日本が信用を世界に持つ限り、それは正に「有価証券」。
・・・金に等しい。
既に国債新規発行は国会が停止させ、総額として3000兆円規模が日本国債の国際査定価格である。銀行は国債をいつでも金に代える機能が持たされ、日本は安定を得、国際社会の優等生として、また船出した。
すなわち、日本の価値は実質3000兆円であり、実際市場評価は国情によるため、その倍程度だった。
全ての国に価格が付いている。
日本は世界2位の価格であるが、1位の国から5位程度にはさほどの差はない。(実際市場評価の順はその価格に多少の変動は当然あったが・・・。)
ちなみに中国は5000兆円で1位。EUが総額で日本の10倍程度。
その中でドイツとイギリスは2500兆円で3位を分け合っている。ちなみにUSAは1500兆円、 カナダとメキシコは800兆円である。
総額約50,000兆円が世界の価値であり、これにもう変動はなく、この中でそれぞれの国は「国力」が倍になれば、その分失う国ができる。
戦争、暴動等は国際連合の軍隊が対応し、この拠出は人間一人当たり年間200円程度で当然、人口が多い国が最も支払い、USA、中国、ロシア、EU、そして日本の最先端の武器・技術を購入する。
その武器は確実に1人、或いは面積レベルで完全に人を抹殺するものである。
このため、USAは金の回収ができ、中国・ロシアなども出す分のみは帰ってくる仕組みになっていた。
地震・他の自然災害には国際連合が国の単位で危険度に応じた内容の保険に換わるものを作ったため、これも解決した。
この時期、科学技術は、ある意味、人間の欲求を全て達成した感がある。
つまり、世界を網羅できるレベルで一定以下の貧困を無くし、全人類の食料や水は他から合成できるまでとなり、その供給方法も確立していた。
牛・豚・鶏のように当然、人間のクローンも作ることも可能である。
クローンを作ることができるのは日本においては保険証所有の日本人に限られていた。
クローンは擬似人が法的立場であって、「人」とは分けられている。
この制度は様々な分野に影響を与えていく。
当然であろう。クローンには食料を要し、意志がある。
現在、日本人の資格を有するものはこの国の人口1億5千万ほどの30%しかいない。3000兆円はこの30%、5千万人が牛耳った。
一人頭、1億5千万円ほどとなる。物価の変動はほぼないため、この金額は100年前と大体同じと考えて良い。
加えれば、先の国際連合への拠出・保険は全て彼らが支払うが年間1,000円ほどの微額であり、税も彼らのみの義務であるが年間10万ほど。
後は企業などの法人が支払う。
それでも国庫には毎年約200兆円ほどが入り、医療と言う面で金がほぼ金が掛からなくなった国は投資も十分可能であり、満たされた国民が再び、銀行に戻した1000兆以上は緊急時、国自体が使用可能であった。
後の70%はクローン、そして、上記の資格すら持てなかった極貧のものでまともな教育も受けれなかった人達である。
ただし、これらのもの達も衣食住には問題はない。そして「自由」はあった。
クローンの95%までが所謂「女性」である。理由は簡単と言えた。
血が混じり、混血化した「日本人女性」は世界中で最も美しいとされ、評価は韓国共々、3位がないほど「圧倒的人気」がある。
クローンにも富とまでは言えない金を得る方法は幾らでも存在する。例えば、タレント、モデルなどが人気トップ。
ホステスなどの商売もあるにはあるが、「売春」は重罪であって表向き存在しない。
また、海外への渡航も自由だが、国籍がないため各国の保護が受けられず、無事帰ってくることはその20%に満たない。
後の80%は行方知れずとなり、自然、一定の生活があるそれぞれの国から出ようとするものは年々少なくなった。
どの国でも共通であり、次第にクローンの海外への渡航は減少する。
女性の細胞からは女性のクローンしか作れず、それは男性も同様である。そして、分娩を要しない代わりに約12歳以上の年齢から呼吸を覚える目的で自然界に出される。
(12歳の年齢に要する培養時間は約3週間ほどに調整され、細胞の添加で言語は固体差によるが多少話せ、文字を書く能力も備える。ただし、細胞の分け与えた人間の意識は当然、消し去られた。また、自然界へ出される年齢の上限は最大35歳までは認められてはいる。その場合、知識はほぼ成人女性のものと言えたが、意識の中に細胞の持ち主のものはやはり含まれない。そして、理由を要する・・・。)
そのため、実際に分娩から生まれる日本人は圧倒的に生きやすい女性が選らばれた。
限られた女性の1細胞は何もしないで一生分の金になる時も多くある。
性の産み分けは当然可能であって、現状で日本国民の男性と女性の比率は1:30程度でこれも他の国においても変わらない。
時間を得た結果だったが、クローン女性の集団的反抗は極めて少ないため各国は容認し、クローンから選挙権から奪う内容とクローンを人とし認め、虐待的行為は犯罪とし刑事事件で立件できる七色の国際条約が締結されたが、当然、全ては文化の表向きであり、裏は幾らでも存在する。
クローンの男性は極めて少ない。人口(と言えるか。)の1000分の1以下。
彼らにはクローン通し、或いは人とのSEXは認められていない。
これを行ったクローンは20年以上の懲役が科せられる。
日本人がクローンとの性行為を行った場合はその国籍を剥奪された。
つまり重罪だが、これが高値の商売になるのは裏の世界では当然である。
ただし、彼らにはそれ以上の快楽を得ることが可能なバーチャルなSEXはいつでも可能であった。
これも彼らのみの「特権」であり、それぞれがそれぞれの「特権」を有することで全ての意志あるものの均衡は保たれている。
世界中で最も多いクローン女性については多くを書かなくてはいけない。
全てが美しい。しかも似ている。彼女らが街を華やかにする。
しかし、一定年齢を超えたものは見つけられない。
彼女らの受ける日本での教育は「美しい」のみが価値がある事であり、それ以外は国語、数学などはない。
国際条約は機能しているが、自然界で40を超えると自ら、日本のクローン女性は政府指定の日本の2州へ行く。
その2州のみ、彼女らを絶対的に保護する場所であり、老衰まで生き抜くことができる。
何故か、女性のバーチャルな性のケアについては開発できないでいた。
現在の謎でもあったが、女性自体がそういう事から意識が遠ざかってしまうのも40の頃から始まるため「神の摂理」と言われている。
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